ホルスタイン共進会(BWショー)で ウシを最もアピールする 場面 は

「皆さんがショー会場でウシをリードする場合、どの場面が一番緊張し、真剣にウシをリードしますか?」と質問したら、多くの人が、「審査員が自分のウシを審査する、いわゆる個体審査のとき。」と答えると思います。

話がそれますが、皆さんが女性であれ男性であれ、異性の集団に入ったとき、異性の全員の顔を一度見た瞬間に、その中で自分の気に入った人が目に入りませんか。そしてそのあと、その人が気になって、何気なくチラチラとその人を見ることはありませんか。その時、その人のそばまで行ってジックリとその人を見たり、出身地や身長や趣味を聞いているわけでもないのに。自分の好みに合うものや、何かアピール性のあるものは一瞬にして目に入り気になるのです。

これが“一目惚れ”というやつです。

話を元に戻します。ショーで審査員がウシを見るのも同じであると考えたらどうなりますか。

審査員の行動を分析してみましょう。

審査員は、審査のスタートと同時に個体審査には絶対に入りません。審査員はリングの中央にいて、入場してくるウシを観察していたり、あるいは出品牛の全頭が揃ってから、おもむろに審査員席から出てきて、リングの中央から出品牛の全頭を見渡します。この瞬間が“一目惚れ”の瞬間なのです。この瞬間に、すばらしい乳用性や成長度合いで審査員の目を引きつけ、脳裏に焼き付くウシがいるはずです。そのウシが審査員好みや、アピール度のあるウシとして上位入賞候補牛となる、と推察ことに無理があるでしょうか。

ですから、ウシをリードする皆さんは、審査員が自分のウシを最初に見る瞬間に、全力でウシを見せる 努力をしなければいけないのです。

「それでは、個体審査は何なんだ。」と思われるでしょう。個体審査は、リード・パーソンと観客に対するジェスチャーだ、と言ったら怒られるでしょうが、個体審査にも意味があります。審査員はリングの中央にいて、右回りに移動する出品牛の右側面を見ています。一方、観客席にいる観客には左側面がよく観察できます。ウシの形状は、必ずしも左右対称ではありません。特に、乳房の形状や飛節のハレは、左右で違うことが多々あります。ですから、審査員がウシの左側面の欠陥を見落とすことは、審査員の致命傷にかかわります。そのためにも、個体審査は意味があるのです。

また、審査員があるウシの個体審査を終わったあと、リングの中央に戻ったとき、チラチラと他のウシを見るときがあるでしょう。その視線の先が、一目惚れしたウシなのです。審査員が視線を移したウシのリード・パーソンは、上位入賞候補牛として、それこそ真剣にウシをリードしなければいけません。

「それが審査か。」、と言う人もいるでしょうが、一頭だけの体型審査と違い出品牛間での比較審査 では、これが現実だと納得するしかありません。

皆さんが観客としてショーを見ているとき、見た瞬間に目を引き付けるウシがいると思います。そして、そのウシはたいてい上位に入賞しませんか。そういうウシが、ショーでのアピール度のあるウシです。

また、皆さんは観客席から出品牛を見ていて「あれが1位で、あれが2位だ。」と友達と話しをしていますね。その時、皆さんは審査員と違って、出品牛個々の細かい点など何も見ずに、全体を見ただけで判断していますし、その判断がそれほど違ってはいないのです。

ですから、リード・パーソンとしては、審査員が自分のウシを最初に見る瞬間に、全力を傾けてウシをアピールする ことが、いかに大切であるかが納得されたことと思います。