勝利へのリーディング -ベスト・リードパーソンへの道-

私は、仕事の関係上、日本の各地のホルスタイン・ショー(共進会)を見てきました。そこで感じたことが二つあります。

一つは、皆さんは多大の時間と情熱を込めてウシの毛刈りをしますね。出品直前のトップラインの最終調整では2~3㎜突き出た1本の毛まで刈って。
ホルスタイン・ショーに出品するにあたって、ウシの毛刈りをすることは、審査員と観客に対する出品者のマナーであることは確かです。
しかし、私が残念なのは、毛刈りで精魂尽き果てたのか、毛刈りに注いだ情熱をリードでは出していないリード・パーソンが多々見受けられることです。「完璧な毛刈りをしたから勝った。」と思っているのかも知れませんが。
ホルスタイン・ショーの審査は、毛刈りの良し悪し競う毛刈り競技会ではなく、ウシの骨格各部位の正確さやバランスの良し悪し、ならびに乳用性の有る無しなどを審査するのです。
確かに、毛刈りをすると、ウシの骨格は見やすくなります。しかし、毛刈りをしているウシでしか骨格を見れない審査員は審査員失格で、毛刈りをしていないウシでも骨格の正確さを見れるのが審査員なのです。
皆さんが努力して育て、精魂込めて毛刈りしたウシを美しく見せるためには、場面々々にあったリードのテクニックが必要なのです。

二つ目は、皆さんは、観客がいない会場でウシをリードしたいですか。
観客が多ければ多いほど、俺のウシとリード・テクニックを見せてやると、振るい立ちませんか。
日本のホルスタイン・ショーは、まだまだマイナーであり、糞尿と騒音などの問題から、会場の立地条件もそれほどよくないため、酪農関係者以外の人はあまり見にきません。しかし、市町村や県によっては畜産祭りを同時開催するところもあり、立ち寄る一般人がいます。フラッと立ち寄った一般人に、「ホルスタイン・ショーは素晴らしい。友人に紹介し、次は家族と友人と一緒に見にこよう。」と思わせる雰囲気を作っているでしょうか。
ショーは一種の興行です。興行は観客を呼び込み、観客を満足させ、感動させなければいけないのです。
観客を感動させるためには、リード・パーソンの服装とか態度などマナーも大切なのです。

この本では、ホルスタイン・ショー(共進会)のリングにおけるリード・パーソンのマナーやリード・テクニックを、多数の写真や図を使って説明してあります。

この本を読むことによって、正しいマナーとリード・テクニックを身につけ、ベスト・リード・パーソンへの道を歩んでください。