2020年3月にホルスタイン種雌牛の推奨発育値の改訂値が25年ぶりに(前回発表は1995年)、日本ホルスタイン登録協会より発表されました。
表1が、今回(2020年)と25年前(1995年)のホルスタイン種雌牛の推奨発育値を比較したものです。
グラフ1は、この25年間に改良された伸びを月齢別に表したものです。
このグラフからわかるように、この25年間に、生涯成長の80%以上の成長をする生後24ヶ月齢で、体高は7.4㎝、尻長は4.0㎝、腰角幅は2.8㎝伸びております。
体高の7.4㎝は、1995年度の24ヶ月齢の体高137.7㎝の5.4%の増加となっています。
尻長の4.0㎝は、1995年度の24ヶ月齢の尻長51.8㎝の7.7%の増加となっています。
腰角幅の2.8㎝は、1995年度の24ヶ月齢の腰角幅50.6㎝の5.5%の増加となっています。
ホルスタイン雌牛の体高と体長が、このまま伸び続けていいのかどうかは、繋ぎ牛舎とフリーストールやルーズバーンの飼養形態によって考え方は違ってくると思います。
腰角幅が広くなっていることは、それに伴って座骨幅も広くなってくるでしょうから、良いことです。これによって、初産の難産を心配して黒毛和種を交配するF1に逃げることもなくなってくることでしょう。
いずれにしても、ホルスタイン雌牛は、人工授精所の努力と酪農家の種雄牛検定事業への協力による優秀種雄牛の選抜によって、日々改良が進んでいます。
もちろん、改良は体型だけではなく泌乳能力においても改良が進んでおります。
次のグラフ2は、1993年から2018年までの25年間の年次別305日検定成績の乳量の変化を示したものです(「家畜改良事業団」 調べ)。
同じ25年間でも、推奨発育値と検定成績とでは2年の発表差がありますが、推奨発育値のデータ収集期間を考えると、ほぼ同じ時期の成績と思っても問題はないでしょう。
乳量の検定成績には年ごとに多少の浮き沈みはあるものの、着実に産乳能力が向上し、この25年間で、全国平均で8,145Kgから9,711Kgへと1,566Kgも増えております。
このことは、後代検定によって選抜された種雄牛を交配すると、確実にホルスタイン雌牛は改良されていくことを示しているのです。
そのために、ホルスタイン雌牛の改良とともに、酪農牧場での栄養管理と飼養管理もまた改善していかなければいけないのです。
ホルスタインは、本能で遺伝的に備わった泌乳能力を発揮してしまいます。泌乳にあわない栄養摂取ですと、ホルスタインは栄養不足からホルモンバランスを崩し、授精がうまくいかずに空胎日数が伸びてしまい酪農経営に悪影響を与えます。
このことを十分に認識して、日々の酪農経営を行ってください。