乳牛の飼養頭数と酪農家戸数の推移

日本の乳牛の飼養頭数と酪農家数がどのように変化してきたかを見てみましょう。

変化を見るのは、入手できる農林水産省のデータから、2003年から2020年までの17年間の変化です。

 

まず、酪農家の戸数です。(グラフ1)

 

2003年に全国の酪農家は29,800戸ありましたが、2020年には14,400戸、48.3%と半分以下になってしまいました。

特に、都府県での減少が著しく、2003年の20,600戸が、2020年には8,560戸と41.6%にまで減少しています。

もちろん、北海道の酪農家も減っており、2003年の9,200戸が、2020年に5,840戸と63.5%となっています。

 

次に、乳牛の頭数です。(グラフ2)

2003年に全国で172万頭飼養されていましたが、2020年には135万頭と78.5%となっています。

2003年から年々減少してきた頭数ですが、2018年から一転増加に転じました。これは、北海道の飼養頭数が増加したためで、都府県の頭数は変わらずに減少を続けています。

2003年度は、北海道が864千頭で都府県が856千頭と、ほぼ同数の飼養頭数でしたが、2020年度には、北海道が821千頭(2003年対比95.0%)であるのに対して都府県が531千頭(2003年対比62.0%)と、都府県の頭数減が際立っています。

 

乳牛の総頭数は、2003年度、北海道と都府県でほぼ同数でしたが、経産牛のみを見たのが グラフ3 です。

2003年には、都府県の経産牛飼養頭数が北海道の飼養頭数より多かったのです。

その後、北海道はほぼ50万頭を維持してきましたが、都府県の飼養頭数は年々減少し、2009年を境に逆転してしまい、今日に至っています。

 

酪農家戸数と飼養頭数を見てきましたので、酪農家一戸当りの経産牛の飼養頭数をみたのが グラフ4 です。

全国的に一戸当りの経産牛飼養頭数は年々増加していますが、2003年から2020年までの17年間で、都府県は30.0頭から44.3頭へと14.3頭増加したのに対し、北海道では54.6頭から78.8頭へと大幅に規模拡大が進んでいます。

 

次に、生乳生産量の推移を示したのが グラフ5 です。

生乳生産量は経産牛の飼養頭数とはほぼ同じ増減の傾向を示しますので、生乳生産量も2009年を境に北海道の生産量が都府県よりも多くなっています。

 

次の グラフ6 は、全国の経産牛頭数と生乳生産量の推移のグラフです。

黒の折れ線グラフが全国の経産牛頭数を、赤の折れ線グラフが全国の生乳生産量を示しています。

しかし、このグラフでは、説明する主旨がよく伝わらないため、2003年度を基準にして各年度を指数化してグラフにしたのが グラフ7 です。

上の グラフ6 と同じく、黒の折れ線グラフが全国の経産牛頭数を、赤の折れ線グラフが全国の生乳生産量の変化を示しています。

経産牛一頭当りの生乳生産量が常に一定とするならば、経産牛頭数の減少比率と生乳生産量の減少比率が一致するはずです。

しかし、グラフ7 から、経産牛頭数の減少比率に対して生乳生産量の減少比率が低いことがわかります。

これは、経産牛の泌乳量が年々増加していることを示しています。

 

単純に計算しますと、2003年度は、経産牛112.0万頭で生乳生産量840.0万トンですから、経産牛一頭当りの生乳は7,500㎏。 2020年度は経産牛83.9万頭で生乳生産量743.8万トンですから、経産牛一頭当りの生乳は8,865㎏となります。この17年間で、一頭当り1,365㎏(2003年対比18.2%)も生乳生産量つまり泌乳量が多くなっているのです。

この経産牛の泌乳量の増加こそ、酪農家の皆さんが、交配する種雌牛の選択に迷いながら行っている改良の結果なのです。改良とは素晴らしいものだと思いませんか。

 

日本の乳牛の飼養頭数が減少傾向にあることは心配なことです。

しかし、ここ数年の飼養頭数の増加と一頭当りの泌乳量の増加によって、トータルとしての生乳生産量の減少に歯止めのかかっていることは確かです。

 

酪農業のさらなる発展によって、飲料用牛乳は国産でまかなえる日々が続くことを願っています。