酪農家戸数と乳牛飼養頭数の推移

日本の酪農家数と乳牛の飼養頭数がどのように変化してきたかを見てみましょう。

変化を見るのは農林水産省の発表データのある1960年からの年間の変化です。

 

まず、酪農家戸数です。(グラフ1)

1963年が酪農家の最大戸数で全国の酪農家は417,600戸ありましたが、2023年には12,600戸となり、1963年対比3.0%と激減しています。

特に、都府県での減少が著しく、1963年の362,700戸が、2023年には7,240戸まで激減し、1963年対比2.0%となっています。

もちろん、北海道の酪農家も減っており、1960年の63,690戸が、2023年には5,380戸で、1960年対比8.4%となっています。

次に、乳牛の飼養総頭数を見てみます。(グラフ2)

1960年に全国で82.4万頭が飼養されていましたが、その後、急激に頭数を増やし、一時的な落ち込みはあったものの1985年には211.1万頭とピークを迎え25年間で2.56倍にまで増えたのです。その後、長い期間減少を続けましたが、2018年から2022年まで一時増加しました。これは、北海道の飼養頭数の増加が都府県の減少よりも多かったためです。

2023年には全国で135.6万頭と、ピーク時の64.2%となっています。

 

1960年には、北海道の182,810頭に対し都府県は640,690頭と3.5倍の頭数がいましたが、順調に頭数を伸ばしてきた北海道が2003年に逆転し、以後、都府県の頭数が減少を続けるのに対し北海道は微増ながら増加し84万頭台を維持しています。

2023年度で、全国の乳牛全頭数の62.1%を北海道が、37.9%を都府県が飼養しています。

 

次に、直近30年間の変化です。

酪農家戸数は全国的に減少の波は止まらず、ここ10年の平均をみますと、都府県では毎年496戸が、北海道でも毎年175戸の酪農家が廃業しています。

 

次に、乳牛の頭数です。(グラフ4)

1994年から年々減少してきた頭数ですが、2018年から一転増加に転じました。これは先に述べましたとおり、北海道の飼養頭数の増加が都府県の減少よりも多かったためです。

2004年度は、北海道が86.4万頭で都府県が82.7万頭と北海道の飼養頭数が初めて都府県を抜いた年であります。

2023年度には、北海道が84.2万頭(1994年対比92.3%)であるのに対して都府県が51.3万頭(1994年対比46.4%)と、都府県の頭数減が際立っています。

乳牛の総頭数は、2004年度、北海道が都府県の頭数を抜きましたが、これは都府県からの育成牛の預託牛の多さも関係しているとも思われます。そこで、経産牛のみを見ますと、2004年も都府県の飼養頭数のほうが多かったのです。(グラフ5)

(注)ここで言う「経産牛」とは、搾乳牛と乾乳牛を加えた頭数を言います。

その後、北海道はほぼ50万頭を維持してきましたが、都府県の経産牛飼養頭数は年々減少し、2009年を境に逆転してしまいました。ここに、北海道が名実ともに酪農王国の地位を築き今日に至っています。

とはいえ、酪農王国北海道のイメージは、皆さんが思っていたよりも以外と最近だとは思いませんか。

酪農家戸数と経産牛飼養頭数を見てきましたので、酪農家一戸当りの経産牛の飼養頭数をみたのが グラフ6 です。

全国的に一戸当りの経産牛飼養頭数は年々増加していますが、1994年から2023年までの30年間で、都府県は21.8頭から50.6頭へ28.8頭増加したのに対し、北海道では38.5頭から87.4頭へ48.9頭と大幅に増加し規模拡大が進んでいます。

 

コラム 「生乳生産量の推移」 を参照ください。