牛の受精卵移植の注意点 ②受精卵の使用時期

ホルスタインの受精卵移植についての注意点の一つに、受精卵を使う時期 があります。

ホルスタインの能力は、種雄牛の作出・選抜に対する人工授精所の努力によって、年々向上しています。ですから、ホルスタインの受精卵は、すぐに使わないと時代遅れの受精卵になってしまいます。

図1で説明します。
横軸に年を、縦軸に種雄牛の遺伝能力をとります。
種雄牛の遺伝能力は年々伸びていますので、グラフの横バーのように伸びていきます。図1は説明の図であるため、年々の伸びを一定にしてありますが、実際には、年々の伸びは一定ではありません。
例えば、2015年(青)に採卵した受精卵を、窒素タンクに保管しておいて使用せずに、2018年(赤)に移植したとしますと、3年間で赤矢印の分だけ時代遅れの受精卵になってしまうのです。

市町村や農協単位の酪農家が受精卵組合をつくって、あるいは、仲の良い若手酪農家がシンジケートを結成してドナー牛(侠卵牛)を購入して採卵したり、高価な受精卵を購入したりしているのをよく目にします。しかし、採卵あるいは購入した受精卵が、意外と使われずに窒素タンクに保管されているのが現実です。これは宝の持ち腐れのなにものでもありません。

ホルスタインの受精卵といいましたが、あくまで能力タイプの受精卵です。
ショー・タイプの受精卵は、多少、年月が経過してもそれほど価値は変わりません。なぜならば、体型審査の基準は変わらないからです。
また、黒毛和種の受精卵は、年月がたっても価値は不変です。なぜならば、和牛の肉質の格付けランクはA5が最高でA6のランクがないからです。