ホルスタインの受精卵移植についての注意点の一つに、受精卵の父親 があります。
皆さまが、未経産牛に初めて交配するときの種雄牛の選択で、一番気にすることはなんでしょうか。
ホルスタインの未経産牛にホルスタインの種雄牛を授精する時に、一番気にすることは、交配する種雄牛の分娩難易度ではないでしょうか。
または、最初から、未経産牛には黒毛和種、いわゆるF1と決めている酪農家もたくさんいらっしゃることでしょう。
その理由は、初産牛の難産を恐れているからです。
しかし、その注意が、採卵するために供卵牛(ドナー)に授精する種雄牛を選択するときに払われているでしょうか?
受精卵を購入するときも同じです。受精卵の父親の分娩難易度を調べて購入している、あるいは、受精卵の父親の分娩難易度を考えて移植先(レシピエント)を考えていますか?
受精卵移植に慣れていない若い方は、多分、“受精卵移植” の言葉で頭がいっぱいになり、あるいは、うれしくなって、そこまで気が回っていないのではないでしょうか。
私が言いたいことは理解できましたね。
受精卵移植は、子宮がきれいな未経産牛に、と考えているかたが多いでしょうが、受精卵の父親の分娩難易度を十分に調べてから移植先(レシピエント)を決めてください。
実際には、未経産牛でも経産牛でも、受精卵の受胎率に差がないという報告書も発表されています。
未経産牛に分娩難度の高い、あるいは、分娩易度の低い種雄牛の受精卵を移植すると、せっかくの受精卵の仔牛が難産で死産とならないとも限りません。分娩に立ち会って「失敗した。」では遅いのです。
種雄牛の分娩難易度に応じた移植先さえ間違えなければ、受精卵移植はまったく心配ありません。
すばらしい能力や体型を持った血液の導入の機会があるならば、受精卵移植は積極蹄に行うべきでしょう。