種雄牛成績の見方 ②種雄牛成績の信頼度

皆さん酪農家が協力している種雄牛の後代検定のデータを見るときは、その データの信頼度 が重要になってきます。
信頼度とは、そのデータがどの程度、信頼できるかどうか、の尺度です。

種雄牛候補の精液として無料で配布される検定用精液から生まれた娘牛をファースト・クロップと言いますが、 ファースト・クロッをプのデータは、データを収集した娘牛の数が少ないため、特に信頼度を重視すべきです。

例えば、図1の種雄牛Aと図2の種雄牛Bの検定成績があるとします。
種雄牛AとBは、同じ16頭のメス牛のデータですが、種雄牛Aは12牧場からのデータであり、種雄牛Bは6牧場からのデータです。
どちらのデータの信頼度が高いでしょうか。

多分、皆さんは種雄牛Aのデータを信頼すると思います。
なぜならば、種雄牛Bのデータは種雄牛Aのデータに比較して牧場の数が少なく非常にかたよっているからです。

種雄牛Aのデータは、12牧場の16頭で、1牧場当り1.3頭です。
一方、種雄牛Bのデータは、6牧場の16頭で、1牧場当り2.7頭です。
皆さんの牧場でも、後代検定用の精液が配布されることがあるでしょうが、配布精液がタダだからと言って、むやみやたらに使用していることはないと思います。

このように、データを集計する娘牛数の少ない最初の ファースト・クロップのデータを見る場合は、娘牛数を牛群数(牧場数と同じですが、後代検定の用語では牛群数となっています)で割って1.4以下のデータが信頼度が高いと思われます。

ファースト・クロップの検定結果として選抜され、新規種雄牛として有料で販売される精液から生まれてくる娘牛がセカンド・クロップと言いますが、セカンド・クロップのデータは別となります。

ファースト・クロップの成績が発表されたときに、泌乳能力や体型の改良が素晴らしいとなれば、新規の種雄牛、いわゆるニュー・フェースに興味があり、時代の先取りをしたい酪農家が、牧場で集中的に使用することがあり得るからです。
多分、皆さんの牧場でも実際にやっていることと思われます。
(これが正しい改良かどうかは、別問題ですが。)

発表されているデータが、ファースト・クロップのデータか、セカンド・クロップのデータかは、娘牛の数を見ればすぐにわかります。

多数の牧場で多数のメス牛に交配されて生まれたセカンド・クロップの成績が集計されても、上位にランクされている種雄牛が、本当に素晴らしい能力を持った種雄牛で、スーパー・サイアーといわれる種雄牛です。
この素晴らしい種雄牛が、次世代の種雄牛の父親となる種雄牛です。

ファースト・クロップの娘牛数は数十頭ですが、セカンド・クロップの娘牛数は3桁以上となっています。
スーパー・サイアーといわれる種雄牛のデータでは、娘牛数は4桁となっています。

牛群数と娘牛数の関係を見ます。牛群数を横軸に、娘牛数を縦軸にとりますと、牛群数よりも娘牛数が少ないことは絶対にありませんから、図3のグラフのように、右下半分にはデータがありません。

牛群数が同じであるならば、娘牛数の多いデータのほうが、信頼度が高くなります。
娘牛数が同じであるならば、牛群数の多いデータのほうが、信頼度が高くなります。

信頼度は、0~99%の数値で、種雄牛案内(ブルブック)に記載されておりますので、参考にしてください。

以上のことを念頭において、種雄牛の検定データを検討して、皆さんの牧場のメス牛の改良を進めてください。