ホルスタイン の 性選別精液

牛を含め、哺乳類の染色体は二種類あり、X染色体とY染色体です。
X染色体とX染色体が授精してXXとなればメスとなり、X染色体とY染色体が授精してXYとなればオスとなります。メスはX染色体しかないのに対して、オスはX染色体とY染色体を持っているため、子どもの性を決めるのはオス側となります。

オスの精液中に多数で、しかも同数含まれているX精子とY精子を選別すれば雌雄の産み分けが可能になるのです。
X精子とY精子を選別するために世界各国の研究者が研究を進めてきました。
主な手法としては、X染色体とY染色体が帯びる電荷の違いや、比重の違いや、DNA量の違いによって選別する考え方です。
この中で確立したのが、DNA量の違いに着目した手法です。

哺乳類のX染色体はY染色体より大きく、ウシではX精子のDNAがY精子より3~4%多いことに着目したのです。精液を希釈して、染色体を蛍光染料で染色します。それをフローサイトメーター(光学的分離装置)で分離するのです。DNAが多いほど蛍光が強くなることを利用するのです。DNA量が多いX精子のほうが強く光るからです。強く光った精子に陽荷電を、弱く光った精子に陰荷電をつけます。その後、陽荷電と陰荷電を分離してX精子とY精子を分離するのです。
このフローサイトメーターをもちいたX精子とY精子の分離方法の特許は米国農務省が持っていますが、特許の独占的使用権は米国コロラド州にあるSexing Technology社が保有しています。

ただし、現在の技術をもってしても、この選別の確率は90~95%の確率といわれ、100%ではないため、性選別のX精子を用いてもオスが生まれることがあります。
とはいっても、90~95%の確率でメスが生まれるとすれば、酪農家にとっては素晴らしい技術といえます。ただし、性選別にあたって精子にいろいろの負荷をかけるため、授精率が若干落ちることも事実のようです。

性選別精液を用いる場合は、100%メスではなく、まれにオスが生まれる時があることと、授精率が若干落ちることを理解したうえで使用するべきです。性選別精液を販売している授精所も100%Ⅹ精子でないことを説明していますので、運悪くオスが生まれたとしてもクレーム対象にはなりません。

一方、授精所側としては、素晴らしく能力の高い種雄牛がいた場合、Y精子を自社で抑えることによって、他の授精所にその系統のオスを作らせないというメリットもあります。