種雄牛の後代検定について

酪農家さんが協力している種雄牛の後代検定には、どの位の期間がかかると思いますか。
種雄牛の後代検定について、説明します。

後代検定が実施される種雄牛候補オス牛(この若いオス牛をヤング・サイアーといいます)は、生後約14ヶ月で精液が採取され、検定供用精液として酪農牧場に無償で配布されます。
皆さんの牧場に無償配布された後代検定用精液は、配布後おおよそ2~3ヶ月の間にメス牛に授精されます。
後代検定用の精液を授精されたメス牛は、約10ヶ月の妊娠期間を経て分娩します。

生まれてきたメス子牛が、種雄牛候補オス牛の最初の娘牛です。この最初のメス牛を ファースト・クロップ と言います。
生まれてきたメス牛は、育成期間を経て授精されます。
ここでは24ヶ月での初産分娩として、育成期間を14ヶ月とします。
生後14ヶ月で授精されたメス牛は、生後24ヶ月で分娩し、泌乳を開始します。
分娩したファースト・クロップのメス牛は、305日の能力検定が行われます。
305日の能力検定のデータが集計されて初めて成績が発表されますが、これまでに約61ヶ月、約5年の期間が経過しています。

ファースト・クロップの成績をもとに、成績上位のオス牛が正式な種雄牛となり、授精所が一般供用としてその精液の販売を開始します。その精液を皆さんが購入して使用することになります。

皆さんの牧場で購入した精液を授精したメス牛から生まれたメス子牛が セカンド・クロップ と言われます。
セカンド・クロップのメス牛は、同じく育成・妊娠・分娩をして泌乳を開始し、305日の能力検定をして成績が発表されるのは、種雄牛が生まれてから実に約108ヶ月後、9年の月日が経過しているのです。

このように膨大な月日のかかる種雄牛の後代検定データは極めて貴重なものですから、粗末に扱わず、皆さんの牧場の牛群の改良に十二分に活用されることを望みます。

なお、年々改良が進む種雄牛にあって、たくさんのデータが集計されるセカンド・クロップの成績が発表されても、成績上位を維持する種雄牛が、本当にすばらしい能力を持った種雄牛なのです。
このようなすばらしい能力を持った種雄牛が、次世代の種雄牛候補の父親になるため、父親が同じ種雄牛が多いことも理解できると思います。

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