乳房の形状について考えましょう。図1のように、乳房を側面から見た形状です。
ウシをあまり知らない人に、「どのような乳房の形が良いと思いますか。」と、質問すると、たいていの人は、「図2の形状が良いと思います。」と、答えます。
これは、あこがれの的である、母の・女性の乳房の形状が頭にあるからでしょう。
しかし、この形状は乳頭が一つの形状となります。
ウシは、片側に二つの分房があり、それぞれに乳頭が付いていますから、側面から見た場合、図3の形状が、乳頭が二つある正しい形状となります。
しかし、酪農経営から見ますと、図4の青色の部分でも乳腺があれば乳ができるわけです。
よって、図5のように、前後の分房の底面が水平な形状が良い乳房となります。
こう説明すると、図6の青色の部分にも乳腺細胞があれば、乳が生産できるわけですから、図7の形状がいいのではないか、と言う人もいることでしょう。
この言い分には、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士が答えをだしています。
湯川秀樹博士は、随筆『自然と人間』のなかで、「自然は曲線を創り、人間は直線を創る。」と書いています。つまり、自然界には直角はないのです。
ですから、図7の直角の形状はあり得ず、図5の形状が正しいのです。
湯川秀樹博士の説から行くと、図8の乳房後面の青い実線の流れから続く、青い点線の流れが正しいのです。
よって、乳房後部が膨らんだ図9の形状が理想的な形状となります。
乳房の形状も、科学的に考えると、理解が早く、納得すると思います。