「性選別」と「性判別」との違い

科学の発達により雌雄の産み分けが可能となり、最近の酪農界では、「性選別」と「性判別」の言葉が頻繁に使われています。
ここで、「性選別」と「性判別」の違いについて説明します。

動物が「オス」であるか「メス」であるかの「性」の違いは、性染色体の組み合わせによって決定されます。

性染色体には、X染色体とY染色体の二種類があります。

X染色体とX染色体とが合わさった「XX」の組み合わせを持ったものが「メス」となり、X染色体とY染色体とが合わさった「XY」の組み合わせを持ったものが「オス」となります。
Y染色体とY染色体とが合わさった「YY」の組み合わせを持ったもは存在しません。

XXの組み合わせを持ったメスは、減数分裂によってX染色体とX染色体の卵子を作ります。
XYの組み合わせを持ったオスは、減数分裂によってX染色体とY染色体の精子を作ります。

これからわかるように、生まれてくる子孫の性を決定するのはオスの精子となります。

「性選別」とは、「性を選んで別(わ)ける」ということで、射精されX精子とY精子が混在した精液からX精子とY精子とを別けることです(図1)。
つまり、「性選別」は精子について使われる言葉です。

一方、「性判別」とは、「性を判定して別(わ)ける」ということで、細胞分裂を繰り返した受精卵から数個の細胞を取り出し、その細胞の染色体がXXかXYの組み合わせであるかを調べて、XXならばメス、XYならばオスと判定することです(図2)。
つまり、「性判別」は受精卵について使われる言葉です。

この言葉の違いを理解して、仲間内での会話で、恥をかかないように注意してください。

酪農業にとっては、「メス」が経営の主体をなすため、雌雄の産み分けが重要視されます。
そのため、他の畜産業界よりも「性選別」と「性判別」の技術が重要視され、この言葉が頻繁に使われているのです。