生乳生産量の推移

コラム「酪農家戸数と乳牛飼養頭数の推移」で、酪農家戸数と乳牛頭数の推移を見てきましたので、次に、生乳生産量の推移について見ていきます。

変化を見るのは農林水産省の発表データのある1995年からの年間の変化です。

 

生乳生産量の推移を示したのが グラフ1 です。1996年以降の傾向として、年々、生乳生産量は減少していましたが、2017年を境に増加に転じてきました。

次の グラフ2 は、生乳生産量の推移に全国の経産牛頭数の推移のグラフを合わせたものです。

(注)ここで言う「経産牛」とは、搾乳牛と乾乳牛を加えた頭数を言います。

黒の折れ線グラフが全国の生乳生産量を赤の折れ線グラフが全国の経産牛頭数示しています。

しかし、このグラフでは、私が説明したい主旨がよく伝わらないため、単純に生乳生産量を経産牛頭数で割って、経産牛一頭当りの生乳生産量をグラフにしたのが グラフ3 です。

単純に計算しますと、1995年度は、経産牛121.3万頭で生乳生産量8,467万トンですから、経産牛一頭当りの生乳は6,980㎏。 2022年度は経産牛86.2万頭で生乳生産量753.3万トンですから、経産牛一頭当りの生乳は8,741㎏となります。

単年度としては、気候など環境要因の影響と思われる変動で増減はありますが、長期的にみれば確実に経産牛一頭当りの生産量は増え、この37年間で、一頭当り1,761㎏(1995年対比25.29%)も生乳生産量つまり泌乳量が多くなっているのです。

この経産牛の泌乳量の増加こそ、授精所が遺伝学の知識を駆使して種雄牛を作出し、その種雄牛の中から、酪農家の皆さんが、交配するメス牛に最適の種雄牛の選択を迷いながら行っている改良の結果なのです。改良とは素晴らしいものだと思いませんか。

次に、経産牛一頭当りの泌乳量が北海道と都府県で差があるのかどうかを見たのがグラフ4です。

皆さんは直観的に、酪農王国である北海道のほうが経産牛一頭当りの泌乳量は都府県よりも多いと思いがちだと思います。

確かに全般的に見れば北海道のほうが多いのですが、2012年から数年間は都府県のほうが多くなりました。

オランダが発祥の地で冷涼な気候を好むホルスタインの飼養には北海道のほうが有利であると思われますが、都府県の酪農家も頑張ってください。

 

コラム 「酪農家戸数と乳牛飼養頭数の推移」 を参照ください。