酪農牧場 の 防疫対策 について

2000年3月に、日本で実に92年ぶりに、口蹄疫が宮崎県で確認されました。
続いて2001年9月に、日本で初めてのBSE(伝達性海綿状脳症)が、千葉県で確認されました。

それから9年後の2010年3月に、再び口蹄疫が宮崎県で確認されました。
2010年8月27日に、口蹄疫の終息宣言がなされましたが、それまでに、宮崎県で29万7,808頭が殺処分され(牛68,266頭、豚220,034頭、その他)、畜産関連の損失は1,400億円、関連損失950億円といわれています。

しかしながら、宮崎県家畜改良事業団の黒毛和種の種雄牛 5頭が特例措置として、殺処分をまぬがれたことが問題となりました。

法定伝染病が発生すると、国をあげての防疫対策が実施され、畜産現場はもちろんのこと、畜産関係の事業所でも、入り口に消毒槽が置かれ、履物の底の消毒が励行されます。また、発生農場への道路は封鎖され、通行する車両は消毒薬によって徹底的に消毒されます。
これらのことは、皆さんの記憶にあることと思います。実はその時、国際空港でも、消毒槽が置かれて、海外からの病気の持ち込みに対して厳重な防御態勢がとられました。

2010年8月27日に、口蹄疫の終息宣言がなされましたが、それからまだ10年もたっていません。10年ひと(一)昔といいますが、ひと昔(10年)もたっていないのに、失礼ながら、酪農家の皆さんの頭の中では、すでに、ふた(二)昔(20年)以上前の出来事のようになっていませんか。

現在では、各牧場はもとより、JA等、畜産関係の事業所にも消毒槽はありませんし、あったとしても消毒液の入っていない槽だけで、カラカラに乾いて入口の横にほったらかしになっています。

病気は、いつ・どこから侵入してくるかわかりません。
治療よりも予防と言われるように、病気が入ってからでは遅いのです。

私が思うに、畜産現場においては、小さな家畜ほど防疫体制が整っているように思います。つまり、一番はニワトリ(養鶏場)で、二番目が豚(養豚場)で、三番目が牛(酪農・肉牛)であると。

皆さん酪農家の方たちは、もう少し、防疫に関心を持ち、日ごろから対策を考えるようにしたらいかがでしょうか。