給与飼料の実験をしてみませんか!!

酪農家の皆さんは、牧場の乳牛に、購入契約をした飼料メーカーの配合飼料をメーカーの指示どおりに給与していることと思います。
そして、泌乳量が増えたり分娩間隔が延びたりして、「栄養が足りないのでは」と少し不安になると、添加剤を追加して給与していることでしょう。

しかし、時には、自分の牧場の乳牛に給与する飼料や添加剤について「これでいいのだろうか?」とか「こうやったらどうだろうか?」等々、何か感じたり、疑問に思った時がありませんか。

そのチョット感じたことや疑問に思ったことを実験してみたらいかがですか。

畜産関係の先生がたは、自分のやってきた研究に加え文献を読んだりして、新しいことを発想しますが、残念ながら、それをすぐに実験に移す実験動物としての乳牛を持っていないのです。学校にも乳牛はいますが、常に実験に供用できるほどの数の乳牛を飼養していませんから。
半面、皆さんは乳牛をたくさん所有しているのです。

その有利さを生かして、自分が思いついたことを牧場で実験してみたらいかがでしょうか。

チョット思いついたことや疑問に思ったことを実際に試してみれば、ひょっとしたら牧場独自のすばらしい結果がでるかもわかりません。
飼料メーカーや添加剤メーカーの推奨する栄養レベルや飼料給与方法が、皆さんの牧場にとってすべて正しいとは限りません。
というのは、乳牛飼料の研究開発をしている飼料メーカーの牧場と皆さんの牧場とでは、飼養形態・環境・飼養している乳牛の泌乳能力 等々、必ずしも同じではないのですから。

とは言っても、配合飼料の配合割合を変えることはできませんので、やることは蛋白源としての植物油粕・エネルギー源としての穀類・微量要素の増量や飼料メーカーでは供給量の関係で使用できない地場産の特殊原料の使用 等でしょう。

泌乳量や牛の状態を見て、何をどの程度増量するかが、現場の皆さんの経験からくる発想なのです。

何も、大げさに実験しろと言うのではありません。気楽に試してみればいいのです。
思いついたからといって、最初からすべての牛の飼料を変えてはいけません。何か不測の事態が発生した場合、取り返しのつかない事態となっては困りますから。

やり方とすれば、人工乳・育成牛飼料・乾乳牛飼料・泌乳牛飼料など、自分が思いついた考えの飼料を給与している牛群から生年月日や産歴の近い4頭の牛を選び、2頭を対照区として従来の飼料を継続して給与し、2頭を試験区として思いついた給与方法(給与量や飼料原料や栄養レベル など)を行えばいいのです。

心配な場合は、試験区の牛の状態を注視して毎日観察し、何か異変がでたら、すぐに元の飼料に戻せば、たとえ被害があったとしても最小限に止められます。

もし、試験区の牛が対照区の牛よりも良い結果がでたときは、その給与方法をもっと多くの牛で試し、結果がよければ全頭に拡大していくのです。

このことによって、皆さんの牧場の乳牛は健康を維持し、より多く泌乳する結果、益々儲かる酪農経営ができるかも知れません。

チョットした思い付きや疑問をそのままにせず、すぐに実行してみる。
そのことによって、酪農をより深く考えるようになり、酪農により興味がわいてくることでしょう。
面白いと思いませんか。

皆さんは、実験に使える乳牛を持っているのですから。

科学の発展の元となる最初のきっかけは、チョットした思い付きにあることは、歴史上、多々あるものです。
畜産とて同じだと思います。
あなたのチョットした思い付きが、ひょっとしたら畜産飼料の既成概念を根本から変えるかも知れないのです。
挑戦してみませんか。