酪農牧場 の 給水器 の 管理

酪農家の生計を支えているのは、ホルスタインです。

これを頭に入れて、酪農牧場でのホルスタインへの水の給与を見てみましょう。

ホルスタインの給水は、ほとんどが自動給水です。
繋ぎ牛舎では、一般的に、二頭に一つの自動給水器(ウォーターカップ)があります。

フリー ストールやルーズ バーンでは、通路の数ヶ所に給水器があります。

自動給水器は、自動で水が供給されますので、人間の感覚として、「何時でも水が供給されている。」との認識から、あまり給水器の状態を気にかけないものです。そのため、あまり掃除がなされません。

日本の祭りでは、打ち上げで、大盃(さかづき)に一升酒をいれて回し飲みをし、絆を深める風習のあるところがあります。飲む人は、祭りに疲れ、すでに酒に酔っているため、平気で飲んでいますが、大盃の底を見てください。先に飲んだ人の歯茎に付いていたものが淀んでいます。
酔っていなかったら、とても飲めるものではありません。

同じことがウシにも言えるのではないでしょうか。ウシはヨダレを垂らしますので、人間よりも色々なものが口の周りについています。それらが全て給水器に落ちているのです。ひどいところでは、フリーストールの給水器にコケまで生えている給水器があります。給水器を掃除せずに放っておけば、雑菌が繁殖してくることでしょう。ウシは言葉が話せないため文句を言いませんが、内心では、「水を飲まないと死んでしまうので仕方なく飲みますが、もっと綺麗な水が飲みたいわ。汚い水を飲ますなら、品質の良い乳は作らないわよ。」と、思っているのではないでしょうか。

一方、牧場では、防犯かペットかは別として、多くの牧場で犬が飼われています。その犬の水を見てみましょう。犬の水は自動給水ではありませんし、犬が給水の用器をころがしてしまうので、飼い主が都度、容器を洗って清潔にして水を与えています。

酪農家の生計の主体であるホルスタインが不潔な水を飲み、ペットで生計の負担となる犬が清潔な水を飲んでいる。
少し矛盾していませんか。

水というのは、生物が生きていくために必須のものです。

酪農家の皆さん、皆さんの生計の糧であるホルスタインの給水器の清掃について、一考してください。
ウシは産乳のために、1日当り80リットル以上の水を飲む必要があるのですから。

ついでに、水について一言。
ウシは飼料を摂取したあと、すぐに水を飲みます。繋ぎ牛舎で一斉に給餌しますと、ウシが水を飲むときも、だいたい同じになります。そうすると、水道の元栓から遠いヴォターカップでは水圧が下がり、水量が少なくなります。
水はただ出ればいいのではありません。水は、必要なときに十分に出ることが大切なのです。
飲水量が少ないと、乳量減少につながりますので、一度、ヴォーターカップの給水量をチェックしてみてください。