種雄牛成績の見方 ⑤標準伝達能力(STA)のプラスが全てよいのか

種雄牛の体型形質の成績は、形質によって評価値の平均値やバラツキが異なるため、種雄牛間の比較として、標準化伝達能力(STA)で標準化しています。

種雄牛案内に記載されている体型形質の標準化伝達能力(STA)の表を見るとき、右肩上がりの言葉が示すように、人間の一般的な感覚ではプラスがいいと思いますよね。

しかし、すべての部位でプラスが良いのではないのです。

例えば、道路のT字路では、右にも左にも行けるように、真ん中が中心、つまり、真ん中(ゼロ)が一番よい部位もあるのです。

それでは、体型形質で、どの部位がゼロがいいのでしょうか。

カナダのホルスタイン協会は親切で、ゼロが良い部位には、英字が付されています。
例えば、乳頭の長さでは、ゼロより長いときは Long の L が、短いときは Short の S が。
最近では日本でも真似て、ゼロが良い部位には星印(☆)が付いています。
参考にしてください。

体型形質で、プラスよりもゼロがいい部位は、乳房の深さ・乳頭の配置・乳頭の長さ・後肢側望・尻の角度 です。

『乳房の深さ』は、浅すぎると(プラス)乳房が小さくなりますし、深すぎると(マイナス)乳房が汚れたり、起立時に乳頭を損傷する恐れがでてきます。
『乳頭の配置』は、内付き(プラス)でも外付き(マイナス)でも、搾乳器の装着が面倒になります。
『乳頭の長さ』は、短い(マイナス)よりも長い(プラス))ほうがいいですが、長すぎるとウシが起立するとき、乳頭を損傷する危険がありますし、短すぎると搾乳器の装着が困難になります。
『後肢側望』は、直飛(プラス)でも曲飛(マイナス)でも、ホルスタインの運動機能によくありません。
『尻の角度』は、斜尻(プラス)は見た目によくありませんし、ハイピン(マイナス)は難産の傾向となります。

これからわかるように、マイナスはよくありませんが、プラスが全てよい、と先入観で解釈することは間違いであることを理解してください。