酪農牧場 の 牛群の変化 と 栄養

現在のホルスタインの乳量は、精液を供給する授精所の努力と酪農家の協力による後代検定によって、高能力の種雄牛が作出・選抜されているため、年々増加しています。
「そんな馬鹿な。」と言う人もいるかも知れませんが、現在販売されている種雄牛の乳量の遺伝能力をみてください。ほぼ全てプラスです。「ほぼ全て」、と表現して「全て」と言い切れないことは、時として、乳量の遺伝能力がマイナスでも販売されている種雄牛がいるからです。その種雄牛は、種雄牛の能力を評価する各国の総合指数(日本:NTP、アメリカ:TPI、かなだ:LPI 等)の計算式から、体型の改良に抜群の力を発揮する、いわゆるショー・カウの父親となる種雄牛です。

乳量が年々増加していることが、酪農経営にどのような影響を与えるかを考察します。

図によって説明します。
例えば、2014年に誕生したメス牛の乳量の潜在能力をX Kg とすると、2015年以降に誕生したメス牛の乳量の潜在能力は図1のように年々伸びてきます。図1は説明の図であるため、年々の伸びを一定にしてありますが、現実には、年々の伸びは一定ではありません。しかし、伸びていることは事実です。
誕生したメス牛は約2年で分娩しますから、2014年に生まれたメス牛は2016年から産乳を開始します。2015年以降に誕生したメス牛も同じです。

一方、現在の平均産次は表1のように2017年度の全国平均で2.6ですから(社団法人 家畜改良事業団)、牛群の産次構成はおおむね図2のようになります。

この産次構成で、3産までの比率が73%ですから、簡単にいえば、経産牛群は過去3年間に誕生したメス牛で構成されていることになります。図1で説明しますと、赤字と赤枠のように、2018年の経産牛は、2014年から2016年の3年間に誕生したメス牛で構成されていることになります。

以後同じで、毎年の経産牛の牛群構成は図3のようになります。(枠内の3年分が牛群の構成です)

ここで、図3から、細い線を取り除きますと図4のようになり、牧場では、3年ごとに全く違った経産牛群を管理している ことがわかると思います。
酪農家のかたは、図3のように継続的に牛群を管理しているため気づかないでしょうが、経産牛群は3年ごとにその大部分が入れ替わっているのです。

ここで、3年ごとの平均乳量を中間年にとると、図5のように、3年間で緑の両矢印分の、6年間で黄の両矢印分の乳量が伸びていることがわかります。
この乳量の伸びに合わせて、当然のことながら、栄養レベルも上げていかなければいけないのです。

栄養レベルを変えずに惰性で経産牛を管理し、昔のままの搾乳量で満足していたら、改良などまったく役に立ちません。

しかし、実際には、ホルスタインは、自分の身を削ってでも、本能的に産乳します。
ですから、本来は毎年やるべきでしょうが、少なくとも3年ごとに栄養・飼養管理を根本から見直さなければ、ウシは栄養不足となり、体調をホルモン・バランスを崩し、その結果、受胎がうまくいかずに分娩間隔が伸びてくることになるのです。

このことを十分に理解し、惰性に走ることなく、日々、緊張感を持って栄養管理と飼養管理をしてください。

潜在能力の高いホルスタインから、顕在能力として能力を引き出し、十分な栄養・飼養管理によって適正な分娩間隔を維持する。
このことによって、酪農家の皆さんが利益をあげ繁栄することを願っています。