生乳の取引基準は永久不変か?

日本の生乳の取引基準は、現在、次のようになっています。
① 乳脂肪率 3.5%以上
② 無脂固形率 8.3%以上

これは、日本では飲用乳が主体であるため、牛乳のコクを求めることから、乳脂肪率を第一に設定されたものです。

この生乳の取引基準が永久不変のものであるかどうかです。

日本の若者の食生活や嗜好の変化によっては、変わる可能性がゼロとは言えません。

例えば、若者の食生活が淡泊な和食から、脂肪の多い洋食へと変化すれば、牛乳から脂肪を摂取する必要がなくなるため、低脂肪乳(ローファット牛乳)を好むようになり、乳脂肪率の取引基準が引き下げられるかも知れません。
また、若者が米飯よりもハンバーグやピザを好むことにより、乳成分率よりも乳成分量が求められるようになるかも知れないのです。乳成分量は、泌乳量が多ければ、乳成分率が低くとも多くなることがあるのです。(「酪農経営」の「ホルスタインの乳量と乳成分について」参照)
アメリカの酪農家は、若者がハンバーグを好むようになれば乳脂肪量が、ピザを好むようになれば乳蛋白質が求められると、日々、食生活の動向を気にしながら経営をしています。

もちろん、取引基準の変更にあたっては、即実施ではなく、実施までに周知期間が持たれるでしょうが、取引基準に合わせた乳牛の改良には到底必要な期間ではないでしょう。

酪農家の皆さまは、常日頃から、世の中の変化に注意を払い、情報収集を怠ってはいけないのです。

また、改良されて泌乳量の増した乳牛の能力にあわせた栄養管理・飼養管理をしていかなければなりません。

何もせずに惰性で経営を続けていた結果、ハッと気が付いた時には、すでに時代から取り残され、廃業せざるを得ない状況に陥ってしまうこともあります。

酪農家の皆さん、このような状況に陥らないように、常に感覚を研ぎ澄まし、生き残るために世の中の動きを注視し、時代の先端をいく経営をしてください。