ホルスタイン(乳牛)の乳量と分娩間隔

現在のホルスタインの乳量は、精液を供給する授精所の努力と酪農家の皆さまの協力による後代検定によって、高能力の種雄牛が作出・選抜されているため、年々増加しています。

1984年から2019年までの乳量の伸びは表1のとおりです。(社団法人 家畜改良事業団)

ここ30年で2,199 Kg、20年で840 Kg、10年で500 Kg増加しています。

一方、同じ期間の分娩間隔は表2のとおりで、これまた年々大きくなってきています。(社団法人 家畜改良事業団)

ここ30年で24日、20年で5日長くなりました。しかし、この10年では6日短くなっています。2011年の前後の数値をみるとわかるように、2011年の分娩間隔は異常値と思われるほどに長くなっています。これは天候の影響もあるのかも知れないと、気象庁発表の「2011年の日本の天候」を見たところ、「夏と秋は全国的に高温であった」とあります。すべてではないでしょうが、分娩間隔の数値に気候が多少影響してのではないでしょうか。

この両方のデータをグラフ化してみたのが図1です。
両グラフは酷似しており、その相関係数を調べますと、なんと0.98となります。
完全な相関の場合の相関係数は1.00ですから、0.98は、乳量と分娩間隔がほぼ完全な相関関係にあると考えてもよいでしょう。

これは何を意味するかです。
ホルスタインは本能によって、自分の身を削ってでも能力の限界まで乳を生産します。しかし、生産する乳に伴った栄養が摂取できてない。そのことによってホルスタインの栄養バランス・ホルモンバランスが崩れ、受胎可能な体調の回復までに時間がかかることによって分娩間隔が伸びてくる。このように考えるのが正しい推論ではないでしょうか。

種雄牛の能力の向上によって、生まれてくるメス牛の潜在能力は向上しています。
一方、メス牛の潜在能力の向上を意に介さず、昔ながらの栄養・飼養管理を続けている。これではいけないのです。

ホルスタインの日々の状態を観察し、栄養・飼養管理の改善に気を配り、最適の状態でホルスタインの持って生まれた潜在能力を引き出して、稼いでいく。これが酪農経営の基本ではないでしょうか。
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