ウシは偶蹄類で、蹄は二つあります。
では、この二つの蹄は5本の指のどれとどの指でしょうか。
実験してみましょう。
皆さんの右手の手のひらをベタッと机の上につけてください。
机につけた手のひらの指先をそのままに、手首を徐々に机から離し、上にあげてください。
手首を上げてくると、最初に親指(第1指)が机から離れますね。
もう少し上げると、小指(第5指)、続いて人差し指(第2指)が机から離れますね。
そこで手首を上げるのを止めると、薬指(第4指)と中指(第3指)が机についています。
この薬指(第4指)と中指(第3指)が、ウシの二つの「蹄」となります。
薬指(第4指)が「外蹄」で、中指(第3指)が「内蹄」です。
最初に机から離れた親指は、長い年月の間に消滅してしまいました。
親指に続いて机から離れた小指(第5指)と人差し指(第2指)が、二つの「副蹄」として残っています。
ウシの副蹄は、ホルスタイン・ショーで、整列しているウシの蹄の乱れを直すときに刺激するくらいで、今ではほとんど用を足していません。将来的には消滅してしまうかも知れませんね。
机についている薬指(第4指)と中指(第3指)ですが、もっと手首を上げると、薬指(第4指)が机から離れて中指(第3指)だけが残りますね。これが、馬など「単蹄類の蹄」となります。
何事も、理論的に説明できますし、理論的な説明で覚えたことは忘れにくいものです。
なお、以上は一般的な指の長さを基本に説明しました。
実際には、薬指が人差し指より長いか短いかは、胎児期に、性ホルモンのエストロゲン(女性ホルモン)とテストステロン(男性ホルモン)が遺伝子に影響を及ぼすことで、指の長さが決定されることが、マウスを用いた研究で明らかになっています。そのため、男性は薬指が人差し指より長い人が多く、女性は人差し指が薬指より長い人が多い、ことを申し添えておきます。