授精 と 受精

ホルスタインの交配は、ストローに入っている精子の「人工授精」が主流で、雄牛と雌牛との交配(本交)は、現在では、ほとんどなくなりました。

そこで、「じゅせい」を辞書で引くと、「 授精 」と「 受精 」の漢字が出てきます。
それでは、この「 授精 」と「 受精 」は、どう違うのでしょうか。

「じゅせい」とは、精子と卵子が合体することです。

授精 」にしろ「 受精 」にしろ、「 精 」は「 精子の 」です。
次に、「 じゅせい 」の「 じゅ 」の字を見ると、「 授精 」の「 」は「 授ける 」であり、「 精子を授ける 」のです。
一方、「 受精 」の「 」は「 受ける 」であり、「 精子を受ける 」のです。
これからわかるように、「 授精 」とは、精子つまり 雄側からみた言葉 であり、「 受精 」とは、卵子つまり 雌側からみた言葉 なのです。

ホルスタインの卵子と精子の合体をみると、通常、1個の卵子に対して、数千万個の精子が放出されます。(動物種によっては、数十個の卵子の場合があります。)
卵子は、卵巣から排卵されたあと卵管采に拾われ、卵管をユックリと降りてくるのに対して、精子は子宮頸管深部に注入されたあと子宮を上り卵管膨大部に達するまで卵子を求めて必死に泳いでくるのです。
このような卵子と精子の行動の差と、1個の卵子に対し、数千万個の精子の圧倒的な数の差から、雄の遺伝子を「 授けよう 」とする「 授精 」が使われるのでしょう。
一方、卵子は、その雄の遺伝子を「受ける」のです。

ですから、交配の最初は雄側が主体の「 授精 」であり、卵子と精子が合体したあとは卵が主体となり「 受精卵 」となるのです。

つまり、「 人工受精 」と「 授精卵 」は間違った漢字の使い方なのです。

この言葉の違いを十分に理解して使ってください。
ワープロで文章を作成した場合、「 授精 」と「 受精 」の漢字を間違えて使っても「漢字変換に失敗した。」で、すむかも知れませんが、黒板または白板に字を書いて説明するときに間違った漢字を使ってしまえば、自分の無知をさらしてしまうので注意してください。