初めてショーに出品する若い人へ

ショーに出品することは、日常とは違う非日常の場に身を置くことです。

日常と非日常との違いはいろいろありますが、特に、孫が初めてショーに出品するおじいちゃんやおばあちゃん、そして本人の心情について見てみます。

それは、ショー・シーズンになって、牧場を視察に訪れた先輩達から「これはいいウシだ。上位に食い込めるぞ、頑張れ。」と期待をかけられたり、市町村のショーで上位になり、全県のショーへの出品が決まると、若者はそのウシが気になって気になってしかたがありません。時には独房に別飼いまでするときがありますが、その段階で、すでに気持ちは非日常です。

気になるものですから本人も、また、可愛い孫が出品するということで、おじいちゃんやおばあちゃん、時には、お父さんやお母さんも一日に何回もそのウシを見に行きます。その時、ウシが可愛いものですから、皆がついつい一握りのエサを、それも濃厚飼料を持って行って与えてしまいます。しかし、通常の規定の量のエサを通常通りに食べているウシにとって、その一握りのエサは余分なエネルギーであり、その余分なエネルギーは全て脂肪として体内に蓄積されてしまうのです。一握りとは言っても、家族の皆さんが見に行くたびに与える一握りの合計は膨大なエネルギーとなります。家族の皆さんは毎日そのウシを見ているため、徐々に脂肪が蓄積して太ってきたことに気づきません。何日かぶりに訪れた仲間が、その変化に気づき「太ったな。」と言っても、本人は「いや、前と同じです。」と否定します。しかし、そのウシがショー・リングに入って周りのウシと比較したとき何と無様な体型(ボディーコンディション)のことか。

このような失敗の例は日本全国いたる所で、何度となく繰り返されています。ショーに出品するという非日常の世界に入っても、どうか家族一同が平常心を持って、日常の管理を続けることによって、防げる失敗を繰り返さないことをお願いします。