種雄牛には、大きく分けて二つのタイプがあります。
一つは、乳量や乳成分の改良に優れた種雄牛で、これを“能力タイプ”といいます。
もう一つは、ショー(共進会)に強い体型の改良に優れた種雄牛で、これを“ショー・タイプ”といいます。
後代検定で種雄牛の能力を比較する各国の総合指数は、各国の乳牛の改良方向をふまえて、計算式が設定されています。一般的には、酪農家の経営を考慮するため、能力タイプが重視される計算式になっています。よって、当然のことながら能力タイプの種雄牛が、各国の総合指数で上位にランクされます。
一方、ショー(共進会)に出品されたウシの父親を分析するとわかりますが、時代によって集中して使われた種雄牛がいます。また、出品牛の父親はかなり限られた種雄牛であることがわかります。これがショー・タイプの種雄牛です。
一般的に、ショー・タイプの種雄牛は、体型の改良には力を発揮しますが、産乳能力の改良については、それほどの力は発揮しません。しかし時には、体型の改良度がすばらしく、産乳能力の改良が劣っていても、各国の総合指数でトップ100入りするショー・タイプの種雄牛がいます。
能力タイプの種雄牛を選択するか、ショー・タイプの種雄牛を選択するかは、もちろん酪農家の自由ですが、自身の酪農の経営方針に従って種雄牛を選択することがベストであり、それこそが自己責任でしょう。