ホルスタイン共進会(BWショー)でかぶる紙帽子は ペーパー ハット か ペーパー キャップ か

ホルスタイン共進会(BWショー)でリードパーソンがかぶる、出品番号の記載された紙製の帽子の名称はなんと言うのでしょうか(写真1)。

各県の酪農家に聞きましたところ、この紙帽子の名前はペーパー ハットが圧倒的でした。

私が英語を学んだとき、英語で帽子には二つの言葉があり、キャップ(cap)とハット(hat)であると学びました。
二つの違いは、帽子に縁があるかないかで違ってくると教えられました。
キャップ(cap)は、“縁”がない帽子であり、ハット(hat)は、“縁(ふち)”がある帽子、だと。

私が中学生のころの筆記用具は鉛筆でした。鉛筆の芯を削り、その削った芯が折れないよう保護するために被せていたものをキャップといっていましたので、“縁”がない帽子をキャップと覚えました(写真2)。

現在は、法律「資源有効利用促進法」の施行によって、ゴミの分別収集が厳しくなっています。ペットボトルの蓋(ふた)はプラスチックであるため、ビン・カンの収集日とは別のプラスチックの収集日に出していますよね。このペットボトルの蓋はキャップと言い、もちろん“つば”がありません。

英和辞典を調べると、
cap : (縁なしの)帽子
hat : (縁のある)帽子    と説明されています。

縁のある帽子・ハットですぐに思い浮かぶのは、あの有名なカウボーイハットです(写真3)。

疑問に感じるのは、“つば”のある野球帽はベースボール キャップ(baseball cap)といいます(写真4)。つばがあるのにキャップとは。

問題は、“縁”・“つば”の意味にあるのです。
そこで、国語辞典で調べると、
“縁” : 物のはし。へり。特に、まわりの枠。「眼鏡のー」
“つば” : ① 刀剣の柄(柄)と刀身との境目に挟み、柄を握る手を防御するもの。
      ② 帽子の周辺に庇(ひさし)のように出ている部分。
と、あります。

つまり、“縁”・“つば”は、帽子の頭を覆う部分の周り全体に庇(ひさし)のように出ているものをいい、これがハット(hat)です
帽子の頭を覆う部分にまったく庇(ひさし)のない水泳用の帽子(スイミング キャップ swimming cap)(写真5)や、一部に庇(ひさし)のある野球帽(写真4)がキャップ(cap)なのです。

この理屈で考えると、“縁”のない紙帽子は、ペーパー キャップが正しいはずです。

ついでに、もっと詳しく知ろうと、帽子が出現した歴史を調べてみました。頭の保温や保護として頭にかぶるために帽子ができましたが、最初にできたものは、縁のない帽子(cap)でした。その後、装飾や機能性を加えて縁のある帽子(hat)ができてきました。よって、歴史的に見て、ハット(hat)はキャップ(cap)の一つであるともいえるようです。

これからすると、後からできた縁のあるハットを、最初にできた縁のないキャップと表現しても間違いではありませんが、最初にできた縁のないキャップを、後からできた縁のあるハットと表現することは間違いです。

結論として、共進会(ショー)でリードパーソンがかぶる、出品番号の記載された縁のない紙帽子はペーパー キャップが正しい表現でしょう。

英語は難しい。