ホルスタインの成長によるバランスの変化

私は、長年にわたって各地のショーを見学してきましたが、最近、疑問に思っていることがあります。

それは、未経産の部のグランド・チャンピオンが、経産の部でなかなかチャンピオンになれない。いや、経産の部に出品さえもされない 傾向が目に付くことです。

この原因としては、未経産の部のグランド・チャンピオンになったその後の育成がうまくいかなかった、あるいは、事故で仕方なく淘汰せざるをえなかった、ということもあるでしょう。しかし、未経産の部のグランド・チャンピオンの多くが、その後の育成に失敗したとか、事故で淘汰されたとは考えられないのです。

その理由として私が考えていることは、ホルスタインの成長と審査のやり方にあるのではないかということです。

ホルスタインの成長をホルスタイン登録協会が発表しているホルスタインの月齢別標準発育値でみてみます。(表1参照)

月齢別発育標準値では、ホルスタインの長さは“体長”ではなく“尻長”で測定されていますので、体長と尻長の比率でみます。

生時はその比率が0.31であったのが、12ヶ月齢で0.36に、24ヶ月齢で0.38に、成牛の60ヶ月齢で0.39と、ホルスタインが成長するにしたがって、尻長の比率が高くなってきます。これは、成長するとともに長さがでてくることを示しているのです。

ホルスタインを誕生から成牛になるまで観察している酪農家の皆さんならおわかりのように、簡単に言いますと、ホルスタインは縦長で生まれ、それから成長とともに長さがでてきて正方形になり、より成長して成牛になると横長になります。

ホルスタインの月齢別標準発育値から、ホルスタインが生涯に成長する大きさを100%として、月齢とともにどの程度成長していくかをみたのが、下のグラフです。

ホルスタインの成長は最初に“高さ”がでて、次に“長さ”がでて、遅れて“幅”がでてくる ことがわかります。この成長の時間差が、ホルスタインの月齢別でのバランスをみるためには極めて重要なのです。

ホルスタインには、その理想体型としてツルータイプが作成されています。日本のツルータイプは6歳(4~5産)で分娩後5ヶ月、体高143cm、体重670kgのときの理想体型とされています[日本ホルスタイン登録協会]。つまり、成牛の理想体型なのです。

ツルータイプが頭に入っている審査員は、ツルータイプのバランスで未経産も評価してしまう。しかし、未経産はその後も成長を続けるため、未経産のときにツルータイプのバランスを持っていたウシは、その後も成長を続けるため、経産に成長するとバランスを崩してしまいショーに出品しても上位にランクされない。あるいは、ショーにも出品されない 、のではないでしょうか。

これが、未経産の部のグランド・チャンピオンが経産の部になってチャンピオンになれないことに対する私の考察です。

皆さんは、標準発育値にあった月齢別の体型を頭に入れておくべきでしょう。