乳房の耐久性に関係する『前乳房の付着』

「前乳房の付着」は、前乳房が腹壁に付着している強さを見ます。

「前乳房の付着」というと、前乳房が腹底となす角度を見ることが一般的ですが、この見方は間違えではありませんが、簡易的な見方です。(図1)
正式な見方は、前乳房が腹壁に付着している「外側堤靭帯(そとがわていじんたい)の強さ」を見ます。(図2)


外側堤靭帯に手を当ててみれば、靭帯の強さが硬さで判断できます。
日本人の審査員ではほとんど見かけませんが、外国人の審査員には、外側堤靭帯に手を当てて観察する審査員を時折見かけます。外国人が審査するときは、ジックリと審査行動を観察して、参考にすることを勧めます。

「前乳房の付着」を、前乳房が腹底となす角度を見るのは簡易的な見方ではありますが、それほど間違いではありません。
この場合は、前乳房が腹底となす角度があるほう(水平に近い)が強く、角度がないほう(90度に近い)を弱いと判断します。

「前乳房の付着」は、乳房の耐久性と関係します。

ホルスタインの大きな乳房は、外側堤靭帯の強さである「前乳房の付着」と「中央懸垂靭帯」によって牛体に支えられているのです。
「前乳房の付着」が弱いと、産次が進むとともに乳房は下に落ちやすくなります。
産次が進んでも搾乳器を装着するためには、乳房底面が飛節より上にあることが好ましいのです。

当然のことながら、線形評価では、「前乳房の付着」が強いほうがプラスで、弱いほうがマイナスで評価されます。