グランド・チャンピオン戦。
各クラスの1位と2位の入賞牛がリングを周回して、横一列に並びました。
その中から、審査員がグランド・チャンピオン候補牛3~4頭を列の前に出るよう指示しました。
列の前に出た候補牛をジックリ観察し、いったん静止した審査員が候補牛に近寄ります。
会場に、静寂が走ります。
審査員がチャンピオン牛の尻を叩くか、チャンピオン牛のリード・パーソンに手を差し出します。
会場にどよめきが広がり、拍手が沸き上がります。
ホルスタイン・ショー(共進会)のクライマックスです。
審査員が講評を述べているとき、ふと、グランド・チャンピオンを獲得したリード・パーソンを見ますと、喜びをひた隠し何か恥ずかし気に下を向いています。
これは、日本の国技が相撲で、「力士は相手を思いやり、土俵上で喜怒哀楽を表してはいけない。」との教えが、日本人の身に染みついているからでしょう。
しかし、ホルスタイン・ショー(共進会)の発祥地は欧米です。
相撲ではないショーにおいては、発祥地の喜び方に習って、素直に喜びを表現いてもいいのではないでしょうか。はしゃげとは言いませんが、満面の笑みを浮かべて片手の腕を突き上げるとか。もちろん、頭絡を離して両手を突き上げることはいけませんが。
喜びを素直に表現することが、数ヶ月にわたって一日何時間も歩行訓練をさせられ、時には、ボディー・コンディションを整えるために食事制限までさせられてきたウシへの感謝ではないでしょうか。
皆さんは、どう思いますか。
余談ですが、今では、大相撲で優勝した横綱が、千秋楽の表彰式の土俵の脇で、万歳三唱をするほど時代は変化しています。もちろん、この横綱は日本人ではなく、外国出身の横綱で、ヒンシュクをかい、後で、相撲協会から厳重注意を受けましたが。