ホルスタイン共進会(BWショー)で最初にインパクトを与える『き甲部の高さ』

“ 体型部位―高さ ”で、ホルスタインの体高は“ 十字部 ”(両方の腰角を結んだ線が背骨と交差する点)で測定すると説明しましたが、カナダの体型部位には、“ 高さ ”に加えて『 き甲部の高さ(前躯の高さ)』(” き甲部 ”とは、両方の肩甲骨の上端を結んだ線が背骨と交差する点)があり、二つの“ 高さ ”に戸惑うかも知れません。

カナダの体型部位の『 き甲部の高さ(前躯の高さ)』 は、” 高さ ”でも、き甲部の地面からの高さをいっているのではありません(下図の赤矢印)。カナダの『 き甲部の高さ(前躯の高さ)』 は、き甲部(下図の白丸)が十字部(下図の緑丸)よりも高いか低いか(下図の白矢印)、をいっているのです。き甲部が十字部より高ければプラスと評価され、低ければマイナスと評価されます。き甲部と十字部とが同じ高さがゼロとなります。

ホルスタインは、十字部よりき甲部が高い、つまり前躯が高いほうが美しく見えるからです。ショー(共進会)の審査では、き甲部の高いホルスタインが、審査員が最初に出品牛を見るときのアピール度が全然違います。何事でもそうでしょうが、ショー(共進会)においても、審査員に最初に与える印象が非常に大事です。

ホルスタインの写真を撮るときに、前足を少し高さのある台に乗せてポーズをとるのはご存知でしょうが、あれは前躯を高くしてウシを美しく見せる一つの手段なのです。

カナダの改良目標は、泌乳能力の改善はもちろんですが、ホルスタインの美しさも加味しているのではないか、と推察されます。それゆえ、日本やアメリカの体型部位にはない『き甲部の高さ』があるのでしょう。