ホルスタイン・ショー(共進会)では、高さがあり、長さのあるウシが、見た瞬間のインパクトとして非常に有利です。
ウシの体高を測る場所は2ヶ所あります。
それは、“ き甲部 ” と “ 十字部 ”です。
“ き甲部 ”とは、両方の肩甲骨の上端を結んだ線が背骨と交差する点です。
“ 十字部 ”とは、両方の腰角を結んだ線が背骨と交差する点です。
ホルスタインの体高は、昔は、“ き甲部高 ”を測定していましたが、現在では各国とも“ 十字部高 ”での測定に統一されています。
体高は、高いほうが見栄えがしますが、月齢にあった体長とのバランスが大切です。
ホルスタインには、各国の酪農界の叡智を結集して、ツルー・タイプという、各国が追求する理想的な体型が模型で作成されています。
しかし、このツルー・タイプはおおむね成牛の体型です。
一方、初生牛は、成牛に対して、体高は約50%、体長は約40%、体幅は30約%で生まれてきます(下の表)。また、ウシの成長は、高さ・長さ・幅の順番で成長してきます(下のグラフ)。
これからわかるように、簡単に言いますと、縦長で生まれた初成牛が月齢とともに横に伸び、幅がでてくるのです。
ですから、未経産牛を成牛のツルー・タイプの体型で見てはいけないのです。十分に注意してください。
生意気ですが、最近のショーの審査を見ていると、審査員は、未経産牛の体型を成牛であるツルー・タイプの体型で審査しているように見受けられます。未経産牛はその後も成長するため、ツルー・タイプに似た未経産牛は、アンバランスな成牛に成長していくのではないでしょうか。
その結果、未経産牛の各部のチャンピオンが、なかなか経産牛になって出品されないのではないでしょうか。
人間の欲望として、ウシが大きくなればより多く乳をだすと思い、ウシの大型化を追求していますが、これ以上ウシが大型化すると、フリー・ストールやルーズ・バーンでの飼養は別として、繋ぎ牛舎では、後ろ足がバーン・クリーナーに入ってしまいます。それを避けるために、背を丸めて牛床にとどまる。結果的にウシにストレスを与えているのではないでしょうか。
そろそろ、ウシの大型化に関して再考の時期ではないかと考えますが。