ホルスタインの心肺機能を保持し産乳能力の基本となる『胸底幅(胸の幅)』

以前、日本ではホルスタインは三つの楔[くさび]形(今でいう鋭角性)から成る、と言われてきました。
その一つが前から見た鋭角性です。
前から見た鋭角の底辺は胸底幅になります(下図)。

鋭角というと、皆さんは槍[やり]の先を思い浮かべると思いますが、あまりにも鋭角ですと、胸底幅の狭い、弱々しいウシに見えてしまいます。
かといって、あまりに胸底幅があり過ぎますと、強すぎて肉牛タイプに見えてしまうかも知れません。しかし、最近のホルスタインは体高があり、あわせて胸の深さがありますので、多少、胸底幅があっても違和感はありません。

それでは、胸底幅は、正確にはどこで測るかです。
胸底幅は、前肢の内側の皮膚(下図の左図の黄線)と胸の皮膚(下図の左図の緑線)がつながっている最も前の皺のある場所(下図の左図の赤丸)の幅を見ます(下図の右図の白線)。

『胸底幅』は、最近の高泌乳牛にとって、心肺機能を保護し、高能力を維持するのに極めて大切です。

皆さんは、子供の頃、親から「胸を張って歩け。」と、一度か二度、言われたことがあると思います。これは、何もヤクザみたいに肩を怒らせて歩け、と言っているのではないのです。心肺機能など、難しい言葉のわからない子供に、成長段階の子供は心肺機能を圧迫する姿勢をするな、と教えているのです。それほど、心肺機能は重要なのです。

標準化伝達能力では、胸底幅のある強いウシがプラス、胸底幅のない弱いウシがマイナスで表示されています。