ホルスタインの乳房の耐久性に影響する『中央懸垂靭帯』

ホルスタインの乳房の重量は、どの位あるかご存知ですか。

ホルスタインの乳房は、乳房の本体が約 8 Kg で、それに乳量が加わります。日量 40 Kg を産乳するウシでは、1日2回の搾乳として、1回当り約 20 Kg ですから、総重量は約 28 Kg の重さとなります。
この大きく重い乳房を支えているのは、『中央懸垂靭帯』(下の左図の黄線)と、前乳房の付着の強さを判定する『外側提靭帯』(下の右図の青部分)です。
乳房が内腿と付着している部分は、乳房と内腿の皮膚が付着しているだけで、乳房を支えてはいません(下の左図の赤線)。

それゆえ、『中央懸垂靭帯』が弱いと、乳房が垂れ下がり、ブラジャーを装着するか、あるいは、淘汰の一因になります。

『中央懸垂靭帯』の強さを見るときに、一般的に乳房後面の凹み(ここを中央間溝といいます)を見ると思いますが、これは簡易的な見方です(下図の左図)。分娩直後など、乳房にしこりがある場合、非常に見づらくなります。

『中央懸垂靭帯』の正式な見方は、乳房底面の左右の分房の間にある凹みを見ます(下図の右図)。

乳房底面の左右の分房の凹みが 3.5 ㎝ 位あれば十分に強い『中央懸垂靭帯』となります。
3.5 ㎝ 位の凹みというのは、簡単にいうと、凹みの間に人の手の人差し指が入るくらいの深さです(下図の左図)。凹みの上の部分は狭いので、指が入りません。そのため、人差し指が入れば 3.5 ㎝ 位になるのです(下図の右図)。

標準化伝達能力では、『中央懸垂靭帯』の強いほうがプラスに、弱いほうがマイナスに評価され、当然のことながら、プラスが良くなります。