ホルスタイン種雄牛成績の見方 ④標準伝達能力(STA)について

種雄牛の検定成績に表示されている遺伝形質の体型形質にある数値(STA)について説明します。

体型形質の部位を評価するためには、長さや高さや幅はセンチメートルで、あるいは、強い弱いや浅い深いなど、判定の基準が違います。判定基準が違うものを、同じ基準で評価できないかを検討して採用されたあのが、STAです。

ある形質について、その全てのデータを集計してグラフにすると、図1のグラフのような左右対称なつりがね型になります。これを 正規分布 といいます。

正規分布にはデータによって、図1の青線のように中央に集中している形や、赤線のように裾広がりの形など、いろいろの形があります。

正規分布の中央から右端(あるいは左端)のデータまでを、データのバラツキ といいます。

データのバラツキの度合いを示すものを 標準偏差値 といい、標準偏差値は次の式で計算されます。

データのバラツキが青線のように中央よりで少なければ標準偏差値は小さくなり、赤線のように裾広がりで大きければ標準偏差値は大きくなります。

ある形質に関するすべてのデータを集計してグラフ化し、平均値であるゼロからの数値を、標準偏差値で割った数値が 標準伝達能力(Standardized Transmitting Ability=STAです。(図2)

通常、その平均値をゼロにし、右側をプラス、左側をマイナスとして評価されます。(図2)

統計学の理論で、このグラフの
-1 と +1 との間に全データの 68% が、
-2 と +2 との間に全データの 95% が、
-3 と +3 との間に全データの 99.7%
が含まれていることが証明されています。

ですから、ある部位の標準伝達能力が +2以上とすると、-2 と +2 との間に全データの 95%が含まれているため、残り5%の半分( -2以下が半分)である全体の上位2.5%(100頭の種雄牛で上位 2~3頭)に当たるすばらしい成績を持っていることになります。
また、ある部位の標準伝達能力が +3以上とすると、-3 と +3 との間に全データの 99.7%が含まれているため、残り0.3%の半分( -3以下が半分)である全体の上位0.15%(1000頭の種雄牛で上位 1~2頭)に当たる極めてすばらしい成績を持っていることになります。

日本とアメリカでは計算上の数値そのままに、 -3 ~ +3 くらいの数値 が示されていますが、カナダでは計算上の数値を5倍した -15 ~ +15 くらいの数値で示されていますので注意してください。